Column

コラム

舌はどこにありますか?

 あなたが何もしていない時、あなたの舌はどこにありますか?そう聞かれて、一体何を聞かれているのか分からないまま、取りあえずあなたは答えます。口の中。そう、その通り。でも、そのような答えを期待して質問がなされているのでないことは、口にする前から分かっています。

 

 何もしていない時つて、どんな時? 第一。口の中で舌がどこにあるかなんて、これまで一度だって考えたことがないし、考える必要があるなんてこと自体、考えたこともないというのが実際でしょう。

 

 何もしていない時というのは、この場合ですと食物を噛んだり、飲み込んだり、喋ったりしていない時のことです。舌の役目は、咀嚼・嚥下・発音というのが、現在のところ一般的ですから、舌がそれらの機能にたずさわっていない時をさして、何もしていない時と表現しているわけです。

 

 それではここで、ちょっとお口を閉じて下さい。そう、いつもの感じを思い出して……。私の口の中はいつも、だいたいこんな感じかなあ。というふうにしてみて下さい。出来ましたか?あなたの舌は上顎(正確には口蓋といって、お口の天井の部分)にぴったりと張付いていますか? それとも、上顎から離れて、下顎に収まっているでしょうか? 舌全体が上顎に張付いている。前の方だけ上顎にさわっていて、後ろは離れている。上顎とはすっかり離れて。下の歯並びの中におさまっている。いろいろな方がいます。

 

 もう少し、そのままでいて下さいね。さて、あなたの上の歯と下の歯は、お互いに接触していますか?接触しているとしたら、キュッと噛み締めている感じですか、それとも軽く触れているくらいですか?上下の歯と歯の問にちょっと隙間がある。それは結構ですね。物を噛んでいない時、ほんのわずか上の歯と下の歯が離れているのは、安静空隙といって、歯にも身体にも、余計な力がかからなくて良いのです。舌がぴったりと上顎に顎付いている方、それも、のどに近いところまで張付いている方では、この安静空隙が保たれています。

 

 そこで、何人もの方に、低周波機器を使って舌が上顎に後ろから前までべったりと張付くようにしてみました。すると、いろいろなことが起こりました。

 

 ある方は、いびきが減って、眠っている間に呼吸が時々止まっていたのがなくなったと、ご家族から言われたそうです。ある方は、呼吸がしやすくなったと感じています。歌が歌い易いやすくなったと仰る方もあります。噛みしめの強かった方では、キッチンでガスの栓をひねるにしても、車のハンドルを握るにしても、余計な力を入れなくなったそうです。

 

 図の中に、交叉する二本の矢印があります。食べ物の通路と空気の通路です。舌の元には舌根という記載があります。舌が上顎から離れていると、この舌根が少し沈下して、空気の通路がちょっぴり狭まります。反対に、舌を元から引き挙げると、空気が通りやすくなって、酸素がたくさん取り入れられるようになります。姿勢もよくなるんですよ。

 

 そういえば、と、低周波で舌を挙げたばかりの若いママが仰いました。赤ちゃんつて、寝ているとき、舌が上顎に張付いてますよね。さて、あなたの舌はどごにありますか?

 

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