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コラム

トルソについて

 トルソというのは、もともとは人体の彫刻作品で頭部や腕、脚などがなくなってしまったもののことです。発掘された古代ギリシヤの彫刻などでよく見かけますし、後に意図的に体幹部のみが製作された作品の呼び名でもあります。

 

 トルソの美しさは、何といっても、ウェストラインの如何にかかっているといっても過言ではないでしょう。ウェストラインは、言うまでもなく、胸部と腰との間をつなぐくぼみのことで、直立二足歩行にともなう体つきの変化と関係があります。

 

 まず骨格的にいえば、“ヒ卜の胸郭は、四足性のサル類に比べて、扁平化しており幅広く前後径が浅くなって”います。また、“ヒ卜では、骨盤は文字どおり盤状で、下から腹部の内臓を受け支えて”います。性差もあり、女性では男性よりも、骨盤の形態は広くて低いのが特徴です。つまり、ヒトの体幹部(胴体)においては、ウェストを挟んで上下に位置する胸部、腰ともに横方向に広く、特に腰の張り出しは、男性よりも女性で、より顕著なのです。

 

 さらに、“ヒトが二本あしで立った姿勢は、四足動物では後ろあしをできる限り後方へ伸展した位置に相当してる”というのですから、ウェストラインが、直立二足歩行に伴って、足が捻れつつ引き伸ばされたことに伴って起こった、腹部を取り巻く筋肉の走行の変化と無縁ではありえないでしょう。(“ ”内、人類・江原昭善)

 

 ウェストのくぼみは、側腹筋と呼ばれる、腹部の両側にある筋肉によって構成されています。側腹筋は3層からなり、各層ごとに向きが異なっています。3層の筋肉が、腹部を左右から取り巻き、腹圧を加える役をしています。一番外側には、外腹斜筋が、腹壁の外側部を後方から前下方に走っています。その内側には、内腹斜筋が、これと交叉する方向に走っています。3層目には、腹横筋が、ベルトと同じ方向に走行し、脇腹を絞めています。したがって、これらの筋肉の張り具合と脂肪の量が、ウェストの曲線に反映することになります。

 

 先日も、咬み合わせ治療をしている60歳代の女性の方が、ウェストが以前よりくぼんできましたと報告してくださいました。これは、顎位が整い歩行の左右均等性が回復すると、どなたにも起こってくる体型上の変化です。

 

 顎位が整うと、左右の足の踏み替えに伴う骨盤の捻じり運動が活発になり、一歩ごとに、側腹筋に軽いストレッチがかかるようになります。これが、斜め方向、横方向から脇腹をがんじからめにサポートしている筋肉に張力をもたらし、その結果、ウェストに張りのあるくぼみができ、トルソの美へとつなかっていくのです。

 

  「咬み合わせが狂っているかどうか、自分ではどんなところで見分けられますか?」という質問をしばしばいただきます。いくつかのチェックポイントをあげておきます。

 

 正面から鏡を見て、首が傾いてはいないですか? 左右の肩の高さは、そろっていますか? ニッと笑顔をつくったときに、口角は左右均等にあがりますか? そのときに小鼻から口角に向けて走る溝は、左右同じ深さですか?ウェストはトルソのようにくぼんでいますか?

 

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