上あご総義歯の試適をしました。試適というのは、義歯を仕上げる前に、ピンクのワックスの上に歯を仮並べして、お口の中にはめて試してみることです。この段階で、咬み合わせは具合がいいか、似合っているかということを確かめます。洋服作りなら、仮縫いといったところですね。
患者さんは、51才、女性の方です。出産後、次々と歯が悪くなったということでした。
義歯を作るにあたって、この方には、ご自分の歯があった時の写真をお持ちいただいてありました。写真の前歯は、少し内側に向いて並んでいるチュートなタイプでしたので、技工所からできてきた標準的な歯並びの人工歯を少しずつ動かして、写真の歯並びに似せていきました。
これでいいかな、と思ったところでお口にはめて手鏡で見ていただいたところ、「もとの私の歯って、こういう歯でした。自分の顔に戻ったみたい。」とおっしゃり、「出来上がるのが楽しみになりました。」と帰って行かれました。
お顔の中でそこだけ別物のように居座るのではなく、表情と一体化してくれる歯になりそうで、私もとても楽しみです。